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山内 俊彦
環境科学会誌, 14(6), p.567 - 575, 2001/12
ダイオキシンの赤外レーザーによる分解には、熱分解及び多光子解離がある。熱分解及び多光子解離では、入射波長の選択、つまり吸収係数の大きい波長にレーザーを合わせることが重要である。低パワー赤外レーザー光による分解では、ダイオキシンの直接吸収による熱分解が重要な役割を果たし、そのほかに大気中の水分子によるレーザー吸収と、それに伴う分解アシストのモデルを考案した。
土谷 邦彦; 河村 弘
Journal of Nuclear Materials, 283-287(Part.2), p.1380 - 1384, 2000/12
被引用回数:52 パーセンタイル:93.82(Materials Science, Multidisciplinary)低温での良好なトリチウム放出特性、化学的安定性等の観点から、核融合炉ブランケットで用いられるトリチウム増殖材として、微小球形状のリチウムタイタネイト(LiTiO)が注目されている。本研究では、湿式造粒法の内、置換型ゲル化法によるLiTiO微小球の製造試験を行い、製造した微小球の基本的特性を調べた。微小球製造試験の結果、振動滴下装置を用いた場合の最適滴下組成が決定された。また、製造したLiTiO微小球の基本的特性を調べた結果、焼結密度は約80%T.D.、真球度(微小球直径の長径/短径比)が1.05であり、均一でかつ大量の微小球製造に見通しを得た。
吉井 文男
コンバーテック, 28(12), p.32 - 35, 2000/12
セルロース誘導体であるカルボキシメチルセルロースが高濃度のペースト状で放射線橋かけすることを見いだした。本稿では、照射条件と橋かけとの関係を述べる。(1)カルボキシメチル基による置換度が橋かけに著しく影響した。(2)置換度が0.7であるとペースト状でも橋かけしない。(3)置換度が1.0以上、濃度が10%以上から橋かけが起きる。(4)置換度が2.2の試料は、50%のペーストをつくることができ、この濃度が橋かけに最も有効である。(5)コンポスト化試験により橋かけしても生分解性を保持している。
高瀬 和之
Fusion Engineering and Design, 51-52(Part.B), p.631 - 639, 2000/11
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Nuclear Science & Technology)核融合実験炉の真空境界破断(LOVA)時に起こる熱流動挙動、例えば容器内への空気侵入、放射化ダストの飛散、温度差に起因する置換流等を高精度で予測するための数値解析コードの開発を行っている。本コードの基礎方程式群は圧縮性流体の式、状態方程式、微小粒子の運動方程式、置換質量計算式等から構成される。本報は、開発中のLOVA事象解析コードを用いて行った解析結果を示す。破断位置及び破断面積をパラメータとして行ったLOVA発生後の真空容器内の平均圧力計算値と時間の関係は、LOVA予備試験結果と10%以内の誤差で良く一致し、本コードが核融合実験炉の安全設計上十分な予測精度を有していることを確認した。また、本研究によって減圧下におけるダストの飛散挙動や置換流によるダストの移行挙動の予測が初めて可能になった。現在は真球状のダスト形状を仮定しているが、今後はダスト条件(密度、サイズ等)をパラメータとした解析が行えるようにコードを改良する考えである。
Fei, B.*; Wach, R. A.*; 三友 宏志*; 吉井 文男; 久米 民和
Journal of Applied Polymer Science, 78(2), p.278 - 283, 2000/10
被引用回数:192 パーセンタイル:98.21(Polymer Science)生分解性ポリマーの放射線改質の一環として、セルロース誘導体のカルボキシメチルセルロース(CMC)の放射線橋かけについて研究した結果、以下の事実が明らかとなった。(1)固体状及び5%以下の水溶液では分解が起こる。(2)10%以上のペースト状の高濃度になると橋かけが明瞭に観察される。(3)橋かけには置換度に大きく依存し、置換度が高いほど橋かけしやすい。(4)置換度が2.2であると、60%濃度のペーストをつくることができ、最も橋かけしやすい。(5)橋かけCMCは吸水し、ハイドロゲルとなる。強固な形状を保持したままの吸水量は乾燥ゲル1gに対し、水300gである。
Wells, J. P.*; 杉山 僚; Han, T. P. J.*; Gallagher, H. G.*
Journal of Luminescence, 87-89, p.1029 - 1031, 2000/05
被引用回数:10 パーセンタイル:47.8(Optics)サイト選択によるレーザー誘起蛍光分光法を、サマリウム元素をドープしたLiYFとKYF結晶に適用し、母結晶の違いによる分光特性の変化を測定した。LiYF母結晶の場合には、ほとんどのサマリウム元素が3価のイオンとしてS対称のイットリウムのサイトに置換されることが確認された。これに対して、KYF母結晶の場合には、3価のイオンとして置換される予想とは大幅に異なり、ほとんど2価のイオンとしてCに近似したイットリウムのサイトに置換されることが測定された。これは、フッ素イオンの欠損による電荷補償効果によって、通常の結晶育成法においても形成されることを示す。さらにKYF母結晶の場合には、150K以下の低温状態においてD第一励起準位を介在した2光子吸収により上準位へ励起された後に、D、D、D準位から基底準位へのアップコンバージョン(500~625nm)光を初めて観測した。
高瀬 和之; 功刀 資彰*; 関 泰; 秋本 肇
Nuclear Fusion, 40(3Y), p.527 - 535, 2000/03
被引用回数:11 パーセンタイル:34.99(Physics, Fluids & Plasmas)国際熱核融合実験炉(ITER)の熱流動安全性研究として、真空容器内冷却材侵入事象(ICE)及び真空境界破断事象(LOVA)下における伝熱流動特性をICE/LOVA予備実験装置を使って明らかにした。ICE予備実験では、冷却材侵入後の圧力上昇速度と温度の関係を把握するとともに、水蒸気凝縮の促進によって圧力上昇を抑制できることを原理的に実証した。一方、LOVA実験では、真空破断後に真空容器内が真空から大気圧になるまでの時間と破断面積の関係を実験的に把握した。また、破断口部に発生する置換流の定量測定結果を基に置換流に同伴される放射化ダクトの飛散分布を予測した。これらICE/LOVA予備実験の成果は核融合実験炉用熱流動安全性評価解析コードの検証に利用された。さらに、ITER工学設計活動の延長期間中に行う計画であるICE/LOVA統合試験の概要、試験項目及び試験スケジュールを示した。本試験の目的は、核融合実験炉における熱流動安全性の考え方の妥当性やICE/LOVA事象下でのシステム安全系の総合性能を実証し、核融合実験炉の安全評価に備えることである。
Wach, R. A.*; 三友 宏志*; 吉井 文男; 久米 民和
IAEA-SM-365, p.174 - 175, 2000/00
放射線分解型のセルロースに橋かけ構造を導入するため、その誘導体のカルボキシメチルセルロース(CMC)を水とよく練りペースト(グリース)状で照射し、橋かけが起こることを見いだした。照射は希薄水溶液、固体及び高濃度のペースト状で行った。固体及び5%以下の水溶液では、分解が優先した。10%以上のペースト状で照射すると水に不溶のゲルが観察され、橋かけが起きた。橋かけはカルボキシメチルグループの置換度(DS)とペーストの濃度に依存した。DSが2.2のCMCは、60%の高濃度でペーストをつくり、5kGyで80%のゲルが生成した。コンボスト化試験による橋かけCMCの生分解性は、未照射CMCよりも分解しやすかった。このほかにヒドロキシエチルセルロースとヒドロキシプロピルセルロースも同じ手法により橋かけが起こることを見いだしたので述べる。
高瀬 和之
日本機械学会2000年度年次大会講演論文集, 1, p.607 - 608, 2000/00
核融合炉で真空境界が破断するような異常事象はLOVA事象と呼ばれる。LOVAが発生すると、まず破断部分から真空容器内部に空気が侵入し、次に真空容器内外の圧力が均圧した後に破断部分に温度差に起因する置換流が形成され、この置換流に同伴されて放射化したダストやトリチウムの微粒子が容器外部に流出する。このような熱流動現象を核融合炉条件下で実験的に把握することは容易ではない。そこで著者は、LOVA下における空気侵入挙動、置換流挙動及び放射化ダストの飛散挙動を定量的に予測するための解析コードの開発を行っている。本報は開発中であるLOVA解析コードの検証計算結果について報告する。今回は特に、置換流に及ぼす破断面積の影響や真空容器で複数カ所が破断した場合の熱流動挙動について数値的に検討した。本研究の結果、著者が提案する置換流評価モデルを使って置換流量を高精度で予測できることを確認した。同様に、提案している粒子運動モデルを使って1か所破断時ばかりでなく2か所破断時のダスト飛散挙動を十分予測できることを示した。
原田 克也; 三田 尚亮; 西野 泰治; 天野 英俊
JAERI-Conf 99-009, p.103 - 111, 1999/09
軽水炉技術の高度化に伴い、発電炉燃料の高燃焼度化が進められている。燃料の高燃焼度化によって生じるFPガス放出挙動、ペレットスエリング、PCI、酸化膜生成挙動、水素化物の偏析、リム効果のような特異的な照射挙動を詳細に把握するための照射後試験は非常に重要なものとなっている。このような背景のもと、燃料試験施設では、高燃焼度燃料の健全性・安全性を確証するための照射後試験データを得ることを目的とする試験装置の開発を行っている。本セミナーでは、これまでに開発した照射後試験装置のうち、イオンマイクロアナライザ、ペレット熱容量測定装置、精密密度測定装置及び高分解能走査型電子顕微鏡について報告する。
高瀬 和之; 功刀 資彰*
Proc. of 5th ASME/JSME Joint Thermal Engineering Conf. (CD-ROM), 8 Pages, 1999/00
核融合炉真空破断(LOVA)時における微粒子ダストの飛散挙動並びに温度差に起因する置換流挙動を予測するための数値解析コードの開発を行っている。今までに、圧縮性流体の式、微小粒子の運動方程式及び置換質量計算式を既存の解析ソルバープログラム内に付加し、LOVA予備解析を実施した。本報は予備解析の結果をまとめたものである。予測した真空容器内の平均圧力と時間の関係は実験値とよく一致し、開発中のコードは十分な計算精度を有することを確認した。また、減圧下におけるダストの移行挙動や置換流によるダストの流出挙動の予測に成功した。今後はダスト衝突・付着モデル等の開発を行うとともに、広範囲な条件で感度計算を行ってコードの予測性能を評価する考えである。
橋本 和幸; 大森 巍*
Technetium, Rhenium and Other Metals in Chemistry and Nuclear Medicine, p.325 - 328, 1999/00
核医学の分野で幅広く用いられているテクネチウムは安定同位体が存在しない元素であるために、その化学的知見が限られている。テクネチウムの最も安定な化学種である過テクネチウム酸イオン(TcO)とチオ尿素の反応によって生成するTc(III)-チオ尿素錯体は、3価のTc錯体合成のための出発物質として応用されている。本研究では、TcOと5種類のチオ尿素誘導体(チオ尿素、メチルチオ尿素、ジメチルチオ尿素、ジエチルチオ尿素及びテトラメチルチオ尿素)との錯形成反応を可視スペクトルの時間変化を追跡することにより、速度論的に解析した。その結果、2段階の反応が観察され、それぞれの反応の速度定数を求めた。さらに、反応機構及び反応速度に対するチオ尿素誘導体の置換基効果について検討した。
鶴 大悟*; 岡本 孝司*; 斑目 春樹*; 文沢 元雄
日本機械学会論文集,B, 63(615), p.82 - 89, 1997/11
本研究は高温ガス炉スタンドパイプ破断時空気侵入挙動を調べる一環として行ったものである。本研究では空気-ヘリウム置換流の実験を行い、その結果同一の体系で2種類の安定なフローパターンを見いだし、置換流量の予測を考察した。2種類の安定なフローパターンとは、流出ヘリウムが流入空気に引き寄せられないパターン及び流出ヘリウムが流入空気に引き寄せられるパターンである。上昇流と下降流の相互作用である巻き込みに着目し、巻き込み率の測定実験を行った。管路網モデルを用いて置換流量の関係式を導出した結果、実験で得られた巻き込み率のデータより置換流量の予測を可能とした。
Hunter
PNC TN9410 97-057, 106 Pages, 1997/05
本研究の目的は、高速炉におけるPu同位体組成比(Puベクター)変化の炉心特性に与える影響を調べ、そしてそれに対応する方策を検討し、最終的には、同一炉心において色々なPuベクターの燃料を燃焼できる最適炉心を構築することにある。本研究では、PWRでのMOX燃料照射によって得られたPuベクターを持つPu燃料を燃焼するために最適化された600MWeクラス高速炉炉心をベースとした。このレファレンスPuベクターに加えて、2つの極端なPuベクター(高フィッサイルPu:解体核Pu、劣化Pu:多重リサイクルPu)の場合について解析評価した。Puベクターの変化に対して、燃料体積比の調整(幾つかの燃料ピンを希釈ピンで置き換えたり、燃料ピン径を変更する方策)により対応できることが分かった。希釈材として、ZrHを使用した場合、炉心性能が大幅に改善されることが分かった。ただ、劣化Puにたいしては、燃料体積比を大幅に増加させることに加えて、制御棒ワースのマージンを確保するために、制御棒本数の増加が必要となることが分かった。今回の検討により、燃料ピン径の増大や制御棒本数の増加により、ラッパー管サイズを変更せずに、1つの炉心で幅広いPuベクターを持つ燃料を燃焼できる炉心概念を構築することができた。これにより、高速炉のPu燃焼における柔軟性を示すことができた。
平原 裕行*; 坂田 雅美*; 川橋 正昭*; 文沢 元雄
5th Triennial Int. Symp. on Fluid Control,Measurement and Visualization, 2, p.887 - 892, 1997/00
本研究では、一定断面積の容器に仮想的に隔壁を設け、その上部に空気、下部にヘリウムを充填し、隔壁を突然除去したときに生じる流れについて数値解析を行った。流体は非圧縮性気体であり、密度拡散のみを考慮した基礎方程式を導出し、解法はSMAC法を用いた。解析結果をアトウッド数(密度比の無次元数)及びアスペクト比(開口幅と容器幅の比)で整理した。その結果、初期段階では中心部から小さな渦が形成され、混合が促進することが分かり、その後いくつかの上昇プルームと下降プルームが観測された。プルームの移動速度は一次停留値を示すことがあるが、経過時間とともに増加することが分かった。
高瀬 和之; 功刀 資彰; 関 泰
Eighth Int. Topical Meeting on Nuclear Reactor Thermal-Hydraulics (NURETH-8), 3, p.1321 - 1327, 1997/00
国際熱核融合実験炉(ITER)の安全性研究として、真空容器内冷却材侵入事象(Ingress of Coolant Event)及び真空境界破断事象(Loss of Vacuum Event)下における真空容器内の圧力上昇速度等を実験的に調べた。冷却材侵入事象予備実験では、容器内温度250C、注入水温度200Cの条件で35気圧の水を10秒間注入したところ、容器内圧力は最高7気圧まで上昇したが、ITERで計画されているサプレッションタンクを使用することにより最高到達圧を目標とする値に低減できることを実験的に確認した。今後は広範な温度条件に対してサプレッションタンクの減圧性能を調べる計画である。真空境界破断事象予備実験では、破断後に容器内が真空から大気圧になるまでの置換時間は破断口サイズが1mm径の場合には約1時間、100mm径の場合には約0.5秒になり、これら置換時間と破断口サイズの関係は対数グラフ上でほぼ整理できることがわかった。この結果から、ITERにおける真空境界破断の置換時間を推定することが可能となった。
高瀬 和之; 功刀 資彰; 関 泰
Journal of Fusion Energy, 16(1-2), p.189 - 194, 1997/00
核融合炉の真空境界が破断した場合、圧力差による空気置換が行われた後、破断口部には容器内外の温度差に起因する置換流が形成される。この置換流によって、放射化ダストの微粒子は炉外に持ち出されるため安全上問題である。そこで、核融合炉真空容器を模擬した縮小簡略モデルを使って、真空境界破断時に発生する置換流挙動について実験的に調べ、次の成果を得た。(1)置換流量は、容器設置面から破断口までの鉛直方向距離に大きく依存する。(2)容器上部に1個の破断口がある場合の置換流は対向流になる。また、容器側部に1個の破断口がある場合の置換流は成層流になる。(3)破断口が2個の場合には、一方が流入口、他方が流出口となるため、破断口が1個の場合よりも置換流挙動は急激に進行する。(4)置換流量と経過時間の関係から、置換流挙動は、置換流発生直後の不安定領域、その後の遷移領域、最終的に十分置換が進行した安定領域の3つの領域に大きく分けられる。(5)不安定領域と安定領域に対して、置換流評価のためのフルード数の実験式を導出した。
高瀬 和之; 功刀 資彰; 小川 益郎; 関 泰
Nuclear Science and Engineering, 125(2), p.223 - 231, 1997/00
被引用回数:11 パーセンタイル:65.46(Nuclear Science & Technology)核融合炉の真空容器が破断した場合、圧力差による空気置換が行われた後、破断口部には真空容器内外の温度差に起因する浮力駆動型置換流が形成される。この置換流によって、真空容器内に存在する放射化ダストの微粒子やトリチウムは炉外に同伴されることが考えられ、核融合炉安全性の観点から真空破断時の置換流挙動を把握することは大変重要である。そこで、核融合炉のトカマク型真空容器を縮小簡略モデルで模擬した実験装置を使って、作動流体にヘリウムガス(容器内部)、空気(容器外部)を用い、真空破断予備実験を行った。その結果、置換量は破断口の数や真空容器設置面から破断口までの鉛直方向距離に大きく依存することがわかった。また、真空容器上部が破断した場合には破断口を通る置換流は対向流となるため置換流挙動は抑制されること、並びに、容器側部が破断した場合には置換流は成層流となるため置換流挙動は比較的スムースに進行することが判明した。さらに、真空容器内の置換量は、破断口径の増加とともに増大し、破断口長さの増加とともに減少することを実験的に明らかにした。
高瀬 和之; 功刀 資彰; 関 泰
Fusion Technology, 30(3(PT.2B)), p.1459 - 1464, 1996/12
核融合炉の真空容器が破断すると、破断口部に密度差駆動による置換流が形成される。この置換流は放射化したダストを同伴して容器内部から外部へと流れるため、汚染領域の拡大に繋がり、この置換流挙動を把握することは核融合炉の安全上大変重要である。著者らはすでに、核融合炉の真空容器をスケールモデルで模擬した実験装置を使って真空容器破断事象(LOVA)予備実験を行い、破断口位置と置換量との関係を明らかにした。今回は、破断口に直径及び長さの異なる数種類のダクトを取り付けて、破断面積と破断長さが置換流量に及ぼす影響を調べた。その結果、ダクト長さに比例してダクトの摩擦損失が増加するために、置換量は減少することが分かった。また、大口径破断の場合には破断口位置には無関係に置換量は破断面積に比例して増大した。一方、小口径破断の場合には、置換量は破断口位置に依存する傾向を示した。すなわち、真空容器の上部に破断口がある場合には対向流の影響を受けて破断面積の縮小とともに置換量は大きく減少したが、破断口が真空容器側部にある場合には成層流の影響が支配的になり破断面積によらず置換量はほぼ一定値を示した。
高瀬 和之; 功刀 資彰; 小川 益郎; 関 泰
16th IEEE/NPSS Symp. on Fusion Engineering (SOFE '95), 1, p.317 - 320, 1996/00
核融合炉の真空容器が破断した場合(LOVA)、圧力差による空気置換が行われた後、破断口部には容器内外の温度差に起因する浮力依存型置換流が形成される。この置換流は、放射化物質等を炉外に放出し続けるため、汚染領域の拡大につながる。そこで、核融合炉真空容器を模擬した縮小簡略モデルを使って、作動流体にヘリウムガス(容器内部)、空気(容器外部)を用い、破断口径一定の条件のもとでLOVA模擬実験を行い、破断口の個数及び位置が置換流量に及ぼす影響を調べ、次の成果を得た。(1)置換流量の値は破断口位置には無関係である。(2)置換流量は容器設置面から破断口までの鉛直方向距離に大きく依存する。(3)容器上部に1個の破断口がある場合は破断口を通る置換流は対向流となるため置換流挙動は抑制される。一方、容器側部に一個の破断口がある場合は、流体の密度差によって破断口の上半分より流入し、下半分より流出する置換流挙動を示す。(4)破断口が2個の場合には、一方が流入口、他方が流出口となるため、置換流挙動は破断口が1個の場合よりも急激に進行する。(5)置換流挙動は、遷移領域を除き、置換流のフルード数と経過時間とは比例関係にある。